脳の抗加齢
(アンチエイジング)

先進諸国の研究では平均寿命と健康寿命の両方が年々伸びていることが報告されていますが、その差(不健康な期間)も拡大していることが問題となっています(※1)。現在の日本人高齢者では10~20年前と比較して加齢に伴う身体・心理機能の低下が5~10年遅れ「若返り」現象がみられていることからも、この不健康な期間を短くすることはより重要です。
このような状況の中で、脳卒中・認知症は要介護度の高い状態(寝たきり)になる原因の第1位と2位で33.7%を占めることから(※2)、発症予防や進行を抑制することが大切です。

当院が提唱する「脳から始める健康寿命の延伸」とは老化に関して遺伝子が関連するのは20%程度で80%程度は環境因子が関連することから、日常生活において身体的、精神的、社会的に良好な状態を維持し、(※3)老化速度を遅らせることによって、加齢性脳疾患を予防し、その結果として健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)を積極的に延ばすことで心身ともに健全な人生を送ることを目標としています。

そこで、当院では脳卒中や認知症といった病気に対する従来の治療や、高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病の予防・治療を行うだけでなく、これらの疾患を老化性疾患ととらえ、抗加齢脳ドックや糖化ストレス・酸化ストレスといった抗加齢検査を行える環境を整え、個々に合ったライフスタイル改善してゆくことで脳のアンチエイジングを実践していきます。

(※1)GBD 2016. Lancet 2017;390:1260-344
(※2)厚生労働省2019年国民生活基礎調査
(※3)Kubzansky LD et al. J Am Coll Cardiol 2018; 72:1382-96