脳の病気の要因に

認知症や脳卒中等の脳の病気は生活習慣病(高血圧・糖尿病・脂質異常症)に伴う動脈硬化が主要な原因であるため、身体学的情報(血液検査、動脈硬化度の判定)の収集、神経学的評価、および脳MRIによる精密な検査を行ったうえでの治療が重要となります。そのため、当院では生活習慣病の診療にも力を入れています。

生活習慣病とは、不規則な食事習慣、運動不足、喫煙、多量の飲酒、ストレスなど日頃の不健康なライフスタイルに起因する病気の総称で、老化速度が亢進した結果とも考えられます。生活習慣病は自覚症状がわかりにくいことが特徴ですが、血管に持続的な損傷を与え、その結果動脈硬化が進行し、血管の狭窄や閉塞をきたし脳卒中や認知症の原因にも進行要因にもなります。運動や食事療法など生活習慣の改善を行った上で薬物治療を用いた予防が非常に重要であるため、ぜひ当院までご相談ください。

主な生活習慣病

高血圧

心臓から送られる血液が血管壁にかかる圧力が高い場合を高血圧と言います。
外来では通常上の血圧が140mmHg以上、下の血圧が90mmHg以上の数値を示していると高血圧と診断されます。自宅での血圧測定も非常に重要で、目標は上の血圧が135mmHg、下の血圧が85mmHg以下です。このように血圧の基準値はありますが、年齢や血管の状態などの全身状態に応じて目指すべき血圧は異なります。自宅での血圧測定は朝と夜の1日2回、トイレを済ませ、1~2分間椅子に座ってから原則2回は測定し、その平均をとることが推奨されます。週に5回以上測定した結果を総合的に評価することが大切です。また当院ではCureApp HT(保険適応)を用いた降圧療法アプリを導入し、高血圧治療に取り組んでいます。お気軽にご相談いただき、最適な治療法をご提案します。

糖尿病

血液中に含まれる糖の濃度である血糖値がインスリンの働きが低下することで慢性的に高い状態を糖尿病と言います。
高血糖の状態が持続すると血管の内皮細胞に損傷を与え、動脈硬化を引き起こします。初期症状は自覚しにくいため、定期的な健康診断などの血液検査を通じて血糖値を確認することが大切です。当院では初期治療まで担当させていただき、効果が見られない場合には糖尿病の専門医をご紹介させていただきます。

脂質異常症

血液中に含まれる脂質のうち、LDL(悪玉)コレステロール、中性脂肪の数値が基準値より高い、あるいはHDL(善玉)コレステロールの数値が基準値より低いと判定されると脂質異常症と診断されます。脂質異常症の状態が持続しますと、血管壁内に蓄積して動脈硬化を引き起こします。早期にご自身で気づくことは糖尿病と同様に困難です。そこで定期的に健康診断などの血液検査を行い、生活習慣の見直しや必要に応じて薬物治療が必要です。